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2021.09.30 Healthcare
私たちが毎日意識せずに食べている物の中には、割と多くの発酵食品が含まれています。漠然と発酵食品が身体に良いことは分かっていますが、そのメリットを知れば、もっと効果的に食事に取り入れたいと思うようになることでしょう。
身近にある発酵食品と主なメリットを知ろう!
日本人は古来から発酵食品を食文化の中に取り入れてきました。味噌・醤油・酢・かつお節・納豆・漬物・日本酒・甘酒などですが、今でも身近に多くの発酵食品が有ることが分かりますね。また、現在では海外からの製品も多くなり、ヨーグルトやチーズにパン、そしてワインなどが代表格です。
発酵食品には、「美味しくなる」「栄養価が高くなる」「身体に良い」「保存がきく」などが主なメリットがあります。例えば「美味しくなる」のは、食材が発酵する過程で、糖やタンパク質から「うま味」成分であるアミノ酸やイノシン酸などが作り出されるからです。イノシン酸はかつお節に代表されるうま味成分です。「栄養価が高くなる」のは、食材が菌によって発酵する過程で、本来は無かった栄養成分を生み出したり、栄養成分を増やしたりするからです。例えば「飲む点滴」と言われる甘酒は、米に麹菌が作用して、ブドウ糖やアミノ酸、ビタミンB群、ミネラルなどの栄養素を作り出します。正に栄養満点なので「飲む点滴」と呼ばれているのです。「身体に良い」というメリットについては後述しますので、ここでは「保存がきく」と言う点について簡単に説明しましょう。
食材に有益な微生物が作用することを「発酵」と呼んでいます。逆に有害な微生物が作用すると「腐敗」になります。微生物の世界では、発酵のための微生物が優位になると繁殖を独占するため、他の菌の増殖をさせません。そのため、腐敗菌の増殖や侵入が抑えられて長期保存ができるようになります。
「発酵」とは食材に微生物が作用して有益な変化を生むことです。特に冷蔵庫が無い時代には、長期保存が可能になることは大きなメリットでした。また、古くからアルコール発酵はワイン造りなどに利用されて来ました。アルコール発酵に必要な酵母菌は、自然界では糖分の多い環境に生息し、果実の皮にも付着しています。果実を潰して容器に入れておけば、自然とアルコール発酵が進んで酒ができました。8,000年前にはワインが造られていました。
発酵に使われる微生物について
ここからは、発酵食品を造る際に使われる主な微生物を紹介します。
微生物名 |
主な用途、作用など |
乳酸菌 |
乳酸菌とは、繁殖に必要なエネルギーを得るために、ブドウ糖や乳糖などの糖を分解して乳酸をつくりだす細菌の総称です。乳酸菌はあらゆる所に存在する常在菌で、人間や動物の体内にも生息しています。 乳酸菌には動物性乳酸菌と植物性乳酸菌があります。植物性乳酸菌は過酷な環境でも生息できるため、生きたまま腸に辿り着きます。腸内を酸性にして悪玉菌の住みにくい環境にすることで、腸内環境を改善します。 動物性乳酸菌は動物の乳などの栄養が豊富な場所でしか生育できません。そのため、動物性乳酸菌のほとんどは腸に届くまでに死滅してしまいます。しかし、死菌となった乳酸菌は、腸内で善玉菌の餌となり善玉菌の増殖を助けます。さらに、有害物質に吸着して便とともに排出されます。 乳酸菌を用いた発酵食品は、ヨーグルト、チーズ、マッコリ、ピクルス、キムチ、ぬか漬けなどがあります。 |
酵母 |
酵母とは単細胞性の微生物の総称で、空気中や土壌、自然界にある植物、果物などあらゆる所に存在します。酵母は酸素のある所では糖類をアミノ酸やビタミンなどに変え、酸素のない所では糖をアルコールと二酸化炭素に分解しながら増殖する性質があります。 酵母の種類は驚くほど多く、自然界に数千種類も存在すると言われているほどです。様々な役割を持つ乳酸菌とは違い、酵母は1つの菌につき1つの役割しかないため、作る発酵食品の種類により利用する酵母を使い分ける必要があります。そのため、パンには「パン酵母」、ビールには「ビール酵母」、ワインには「ワイン酵母」といったように、分かりやすい名前が付いていたりします。 酵母を用いた発酵食品は日本酒、焼酎、酢、みりん、ビール、ウイスキー、ワイン、パンなどがあります。 |
麹菌 |
麹菌とは、アスペルギルス属というグループに属するカビで、その中でも特に「麹」を造る際に使われるものを指します。「麹」とは発酵に使うカビを、米や麦、大豆などの穀物に植え付け生育させたものです。 麹菌は加熱された穀物の中で繁殖する時に100種類以上の酵素を作り出します。これらの酵素はデンプンを分解してブドウ糖を作り出したり、タンパク質を分解してアミノ酸を作り出したりして食品の発酵を促します。 麹菌には様々な種類があり、米を原料とした米麹、大豆を原料とし大豆麹、麦を原料とした麦麹、塩を原料とした塩麹などが挙げられます。世界ではカビを使った発酵食品がありますが、麹菌の利用は日本独自のものです。 麹菌を用いた発酵食品は日本酒、酢、味噌、醤油、焼酎、泡盛、みりんなどがあります。 |
酢酸菌 |
酢酸菌とは、ワインや日本酒に含まれるアルコールを酸化させて酢酸を生み出す細菌の総称です。酢酸菌は空気中に浮遊しているほか、梅・ぶどうなどの果実や柿・りんごの皮、花やはちみつなどに存在しています。 酢酸菌は酸素を好む好気性菌なので、液体の表面に膜を張るような形で増殖していきます。 酢酸菌は大きく分けて2種類に分けられます。アルコールを酸化させるアセトバクター・アセチと、糖を発酵させてセルロースを作る働きをするグルコノアセトバクター・キシリナスです。アセトバクター・アセチは主に酢を造る時に利用され、グルコノアセトバクター・キシリナスは主にナタデココを造る時に利用されます。 酢酸菌を用いた発酵食品は米酢、ワインビネガー、果実酢、ナタデココなどがあります。 |
納豆菌 |
納豆菌とは、稲のワラや枯れ草、落ち葉などに多く生息する枯葉菌の一種です。無酸素や、₋100℃~+100℃の低温または高温などの過酷な環境でも、生き延びることができる強い菌です。 蒸した大豆に付着させると、大豆のタンパク質を分解してアミノ酸やビタミン類を生成します。発酵が進むと、独特の臭気と糸を引く粘りをまとった納豆が出来上がります。 納豆の粘り成分にはナッウキナーゼという酵素が含まれています。この酵素は、強力な血栓溶解酵素で、血栓によって致命的な症状が出る、心筋梗塞や脳梗塞の予防や対策として注目されています。 納豆菌を用いた発酵食品は納豆です。 |
発酵食品のメリットを整理してみましょう。
①免疫力を強化:乳酸菌や納豆菌が腸内環境を改善することで免疫力を強化します。
②整腸作用:乳酸菌が腸の善玉菌を活性化させて、便通がよくなります。
③疲労回復:酢に含まれるクエン酸が疲労回復に効果があります。
④美肌:麹菌が生み出すビタミンB群は皮膚の代謝を助け美肌効果があります。
⑤栄養価が増加:発酵は本来は無かった栄養成分を生成したり、栄養成分を増やします。
⑥旨味成分がUP:発酵により糖やタンパク質から「うま味」成分であるアミノ酸やイノシン酸などが作り出されるためです。
⑦保存性を高める:発酵のための微生物が優位になると繁殖を独占するため、他の菌の増殖をさせません。そのため、腐敗菌の増殖や侵入が抑えられて長期保存が可能になります。
このように優れた効果を発揮する発酵食品ですが、美味しく食べて「身体に良い」ことが一番のメリットと言えます。
身体に良い点の最たるものが、腸内環境を整えるということです。腸には免疫細胞の7割が集まっているため、腸内環境を整えることで病気などに対する免疫力を高めることができます。味噌が血圧を下げたり、納豆が血栓を予防するなど、成人病の予防にも発酵食品は効果があります。
発酵食品のデメリットも知ろう!
発酵食品には、数少ないですがデメリットもあります。毎日発酵食品を食べることは推奨されますが、摂りすぎは身体に良くないことを承知しておきましょう。
①漬物、味噌、醤油、チーズなどは塩分が多い傾向があります。適量を摂りましょう。
②ヨーグルトは動物性脂肪が多く含まれています。肥満や中性脂肪が気になる場合は、過剰摂取に注意したり、低脂肪や無脂肪ヨーグルトなどを選びましょう。
③納豆に含まれるセレンやプリン体・大豆イソフラボンなどが、食べ過ぎると胃腸障害や痛風を起こします。
④ワインや日本酒など、お酒は適度な量を心がけましょう。
まとめ